「3 冊の手引き 」
26期 白田 夏子
1冊目の「樹木医の手引き」を購入したのは15年程前だったように思います。林学科を卒業し造園関係の仕事をしていた頃、少しずつ勉強するつもりでいました。が、ほとんど読み通せず、いつまでたっても新品同様。数年後、受験を目指そうと本格的に思ったときには、改訂3版となっていました。この時、2冊目を購入しますが、育児・家事・仕事の毎日で挫折。さらに数年が過ぎ、今度こそ、と覚悟を決めた頃には改訂4版……。3冊目となる手引きを購入し、このまま「樹木医の手引きコレクター」で終わるわけにはいかない、と決意して受験に臨みました。
選抜試験までは、まず集中できる時間を探すことから始め、平日は朝4:00〜6:00、休日は午前中と夕方の3時間ずつを勉強時間にしました。効率重視と体調管理の面から、睡眠時間をあまり削らないようにもしました。参考書は手引きと過去問題集を中心に、高校生物図解、講談社の「絵でわかる〜」シリーズなどのほかに、森林総研や植物生理学会のホームページなども読みました。インターネットは幅広く情報が得られる点が便利ですが、信頼できる機関のページを選択することが大切だと思います。
十分な対策ができたわけではなかったのですが、試験の約一ヶ月後に届いた封筒には「樹木医研修受講手続き書類在中」と書かれていました。一瞬、頭の中で情報がうまく処理できませんでしたが、選抜試験の合格を意味するとわかり、驚きと喜びを後から感じました。
樹木医試験の難しさは、試験問題の難しさだけでなく、受験に至る手続きや2週間の研修期間にもあると思います。職場や家庭からの協力が必要であり、自分一人では取ることができなかった資格であると感じました。挑戦するチャンスを与えてくれた周囲の方々への感謝と、「樹木医の手引き」を手にしたときの気持ちを忘れず、これからも常に学ぶ姿勢を持ち続けたいと思っています。