「緑化の専門家」
28期 佐竹 奈々美(旧姓:佐原)
私は小さい頃から植物が好きで、宮脇昭さんのように森林再生や人と森をつなぐような活動をしたいと考えていました。森林生態学が勉強できる大学へ入学し、そこで樹木医補の制度があることを知りました。大学では樹木医の先生の講義を受講する機会もあり、自分も樹木医の資格を取れたらいいなと何となく思っていました。
大学院卒業後、就職先が樹木医の取得を推奨していたこともあり、社会人2年目に受験したところ、なんと1回目の受験で選抜試験に合格してしまいました。
試験勉強は受験日の2 か月ほど前からゆるゆるとはじめました。平日寝る前の1~2 時間は過去問集を音読しながら解き、間違えた設問は正答と解説をさらに音読。それでも理解できなかったものや新たに沸いてきた疑問は、休日に大学で使った教科書や資料などを読み返し、ノートにまとめました。大学から大学院にかけての6 年間で、樹木学や木材材料学など試験に必要な知識はある程度学んでいたため、過去問の内容は比較的すんなりと理解できるものが多く、大学の講義の復習という感じでした。また、大学で勉強しなかった造園の分野については、『最新・樹木医の手引き』をとにかく読み込みました。
筑波の研修では、様々な分野の専門家の方たちの講義や実習の授業を受けました。樹木に関する基礎知識をたくさん吸収し、同じ目標を持つ人たちと切磋琢磨した2週間は、とても楽しく充実した時間でした。
私が現在所属している部署では、土砂災害の調査や対策工の提案が主な仕事です。樹木の診療や管理といった樹木医らしい仕事ではありませんが、山中の現場に行くことが多く、立木調査や法面緑化の設計も行います。植物に関わることもある仕事ですが、緑化に使用する植物は構造物の一部として扱われるため、植物に関する知識を持つ人は職場にはほとんどいません。そのため、職場の人たちの樹木、植物に関する意識を変えることができたらいいなと思います。そして、ゆくゆくは緑化専門の部署で働きたいです。