「空白の4年間」
28期 桑子 憲一
私の仕事は造園業です。最初の受験は50歳の時で、4回受けてやっと合格しました。樹木医の手引きと過去問題集を理解できるようになれば受かると思い、タブレットを片手にこの二つを繰り返し読み込んではノートに書き込んで復習するといった方法で、寝る前の1~2 時間を勉強に費やしていました。休日にまとめて勉強時間を作っても集中力が続かない!勉強するための体力をつけなくてはと筋トレやウォーキングをする始末。今思えば無駄な時間だったかもしれません。
樹木医の試験は、範囲が広く覚えなくてはならない事が沢山あり、まとめてとか、一夜漬けのような勉強ではとても理解できないと思います。とはいえ、計画を立てノルマを課しても、思うようにならなかったのが現実でした。結局、3回目も不合格。もう無理だ!生まれて初めて絶望を実感!しかし、悪いことをしている訳はないのだからと考え直し、家族に協力してもらいもう一年頑張ることにしました。
勉強法は特に変えませんでしたが、気の持ち方を変えようと思い、禅の本の中の言葉で気持ちが一変した。「一に清掃、ニに身心~お経を唱えるよりも、まずは掃除をして自分の身の回りを清めなさい!」。実際に身の回りを整理すると気持ちがスッキリして集中力が増すではないか。二つ目は「吉凶は人にありけり日にあらず~すべては自分自身から!」。三つ目は「知足」。足るを知る~今の自分がどれだけ幸せかよく考えてみた。仕事も家庭もあり、勉強もできる環境にある自分がどれだけ幸せか!これらの言葉を思い浮かべながら、4回目の受験勉強に励んだ。妙に心が落ち着き、集中力が増してきました。試験当日も落ち着いていました。遠回りをしたかもしれませんが試験勉強を通じてたくさんの事を学ぶことができ、人生がとても豊かになった気がします。受験に臨んでいた4年間は、家族にも心労をかけました。過ぎてみればあっという間ですが、時間が止まったままの4年間でもあったようです。仕事をしながらの受験勉強なので、大変だと思いますが、受験される方は頑張って下さい。