「樹木医研修でしか得られない経験」
24期 梅澤 将司
鎌倉市で剪定、造園を主として15年。庭木が何故枯れるのかも説明出来ず、やたらと枝を切り詰め、しまいには「強剪定すれば樹木は若返って元気になる」とまで考えていた程度だった言行の転機となったのは樹木医試験でした。
「とりあえず受けてみるか」と3か月前に安易に思い立ち、「今からできることは知識より試験対策ぐらいしかないな」と過去問を解いてみました。テスト慣れしている世代のせいか、五割程度正解できました。
七割以上の正解を目指して、回答の成否を問わず過去問集の解説はしっかり読み、毎年繰り返し出る内容はそれで記憶しました。その程度の理解とたまたま文字になった程度の論述で偶然ぎりぎり受かってしまいました。秋の研修でそのしっぺ返しを二週間も受け続けたのは言うまでもありません。
研修に集まった仲間とのレベルの差は歴然で、彼らが質問している内容を質問したい位なので、開き直ってその日の講義を予備知識なしで受け入れていました。個人の勉強方法にもよりますが、講義後の教室での自習は、すぐ隣に頑張っている仲間がいるので、自分に負けてばかりの私には最適でした。「寝る前にもう一度その日まとめた内容を読みながらいつの間にか朝になってテストを受ける」その繰り返しの二週間でした。最終面接はこれまでとこれからの自分について話すだけなので、特に対策などせずに真摯に謙虚に話せばよいと思います。
研修仲間達は全国様々な分野のプロです。彼らは私のライバルであり、先生であり、励みであり、財産です。同様な経験をしてきた樹木医の先輩達も私に非常に親切にしてくれます。まだまだ一つ知るとその何倍も分からない事が増えるような状態なので、仲間や先輩に教えてもらい、彼らに見られても恥ずかしくないような仕事が出来るように努力中です。現代の人間社会と樹木の関係はまだまだ良いとは言えません。少しでも関係が良くなる仲介をするのが私が目指す樹木医の姿です。