「樹木医に合格して…」
21期 濱田 拓
樹木医の受験にあたって使ったノートが、手元に3冊あります。1冊は「第1次審査(樹木医研修受講者選抜試験)」に向けて勉強したもの、あとの2冊は「第2次審査(2週間の研修・資格審査)」の時の講義ノートです。
樹木医の受験を思い立ったのは、会社の後輩の「樹木医受けないですか?」の一言でした。また、同僚が前年に樹木医試験に合格していたことも影響しているかもしれません。いずれにしても、あまり積極的なものではありませんでしたが、受ける以上は合格したいと思い「樹木医の手引き」を購入し、これだけを頼りに筆記試験の勉強をしました。植物の分類や生態が専門なので、生理や病害虫、農薬などは知らないことばかり。大事そうな単語をひたすらおぼえるような勉強でノート1冊。記述試験は過去問で対策しましたが、私の受験年は生態系に関する設問が多かったのがラッキーでした。これが1次審査を突破できた大きな要因だと思っています。
研修は言われていた通り想像以上に大変で、ノート2冊。毎朝の試験に一喜一憂し、普段なら飲んだくれている時間帯までかなりまじめに勉強した前半1週間。喫煙室での「情報交換」、仲間の助言がこんなにありがたいものだと身に染みた後半1週間。ただ、宿舎の部屋の椅子が硬かったのが辛かったです。
そんなこんなで、何とか樹木医に合格することができましたが、造園の経験もなく、病害虫のスペシャリストになれるはずもなく、樹木医としての自信はまだとても持てません。人間の医者でいうと外科医や内科医は無理。では何ならできる?今までの知識や経験からできることと言えば、樹の周りの土壌や風当たりなどの環境を見ること、過去からの経緯などを想定すること、そしてそれらを通して対象となる樹木の状態を考えること。これならできるかもしれません。総合診療か診療内科といったところでしょうか。そんな樹木医を目指していきたいと思います。