「念いを継ぐ」
28期 山口 大輔
私が高校生だった頃、樹木医である父に突然呼び出され、抽出されたマツノザイセンチュウを顕微鏡で観察させられました。こんな小さな線虫が松の木をたくさん枯らしていると説明を聞いて、なんとも凄い世界があるものだなぁと感動した記憶があります。そんな父の影響もあり、樹木病理の勉強をしてみたい!と意気込んで大学に入学はしたものの、途中心変わりをして、博士号をとるまで植物生理生態学の研究室に所属していました。地元に戻り、家業の植木屋を近いうちに継がなくてはいけなくなり、父と同じ樹木医を取ろうと奮起し2018 年に受験をしました。
私は樹木医試験の勉強として、樹木医の手引きを一度全部読んだ後、ひたすらと過去問を解き続けることをしました。出題範囲に生理生態もあったので、そこだけは自信があったのですが、他は見たことも聞いたこともないような分野の話ばかりだったので、分からない事があれば手引きや他の専門書を開いて確認をしながら勉強を進めました。択一式試験では大学での経験はあまり役に立ちませんでしたが、論述式試験は院試みたいな問題だったので昔の事を思い出しながら書くことができました。私の場合は、問題と関連したキーワードを、これまでの生活のどこかで聞いたことのある話題から引っ張ってきて、あとは時間内にそれらしくまとめることに注力しました。論述式試験の平均点が例年低いそうなのでここを勉強すれば他の受験者と差がつきそうなものですが、日頃からいろんな本を読んだり、過去問を実際に手を動かしながら解いてみたりくらいしか勉強する方法がなく、なかなか勉強の目標を立てるのも難しそうです。書いた文章を採点してくれそうな方が周りにいるようでしたら、恥を恐れずに相談するのも手だと思います。
私は父のおかげで、研究者となり植木屋となり樹木医にもなれたのだと思っています。そんな父はもういませんが、次は私が誰かに緑のおもしろさを伝えることができる樹木医になれるよう、これからも自分らしく活動していこうと思っています。