「勉強か、興味か」
26期 黒沢 秀基
昆虫採集とキノコ狩りが趣味だった私が、まさか樹木医として駆除や防除に悩むようになるとは思いませんでした。
樹木医という言葉を初めて聞いたのは高校生の時でした。その頃はカミキリムシが大好きで、採取しては標本箱に並べていたので、やたらと駆除するなんてひどい職業だと思っていました。大学で森林について学び、樹木医への見方が変わり、卒業時に「樹木医補」として登録しました。
造園・緑化関係の仕事や尾瀬で森林を管理する仕事に携わるようになって5年近く経ち、身近な大木が枯れたり、倒れたり、人の生活圏や登山道周辺など身近で癒しを与えてくれる樹木も、時に危険な存在になることから、管理者の責任として必要な資格だと強く感じ、上司に樹木医の試験を受けさせてほしいと懇願して受験することができました。
夏季に尾瀬で働いている私にとって、選抜試験の頃は繁忙期でした。受験勉強は「樹木医の手引き」を使っていました。と言っても大学の授業で教わった内容が多く、勉強するというか、昔のアルバムを見ているような感覚で、よく夜ふかしをしていました。
結局、自身に甘い性格なので知的好奇心の赴くまま興味ある内容のところばかり見ていたので、選抜試験では外科手術の分野は疎かだったと反省しています。また、樹木医としての知識だけでなく診断依頼者への対応や道徳が問われる問題も印象的でした。
筑波の研修では、樹木医の基盤となる知識を得ることができたと思います。また、樹木医は量より質だと教わり、価値の高い資格だと感じました。
樹木医になって1年。仕事だけでなく、休日に研修会に参加したり、害虫の行動を観察しに行ったり、駆除しながら標本を作ってみたり、まだ知らないことだらけで日々勉強です。
今後は私の得意分野を生かし、その樹木を必要としている人間だけでなく、動植物にまで配慮した治療が提案できる樹木医を目指していきたいです。