「仕事・子育て・樹木医試験」
28期 戸来 恭子
私は環境省の自然保護官として、国立公園に関わる仕事をしています。幼少期から植物への関心が強く、大学では迷わず森林科学を学びました。当時始まったばかりの樹木医補の制度を利用して、卒業後は1~2年のうちに樹木医の資格を取るつもりでした。でも、就職後は日々の業務をこなすのに精いっぱいで受験は後回しになっていました。
そんな私にきっかけを与えてくれたのは転勤先の香川県でお会いした樹木医会の方々です。巨樹の調査に同行させてもらったのを機に、やはり自分も先輩方の仲間入りをしたいと思うようになりました。
しかし、一念発起して樹木医の手引きと試験の過去問題を入手したところで第1子を授かり、受験は延期することに。その後第2子の出産もあり、結果的に試験を受けられたのは就職してから13年後、子どもが5歳と2歳の時でした。
試験勉強は、時間が限られていたこともあり、まず10年分の過去問を解くことから始めました。そして、過去問の出題箇所を中心に手引きを読み、頻出分野をノートにまとめて暗記しました。記述問題は、本番と同じようにきっちり時間を計って過去問にあたり、焦りと緊張感の中でも文章を書き終えるよう対策しました。
無事、合格通知を受け取ってからは、研修に向けた準備です。小さな子どもと仕事を持つ私が2週間の研修に参加するには家族や周囲の人たちの協力が不可欠でした。勉強を続けながら、土日に業務を穴埋めし、遠い実家に子どもを預かってもらって、半ばへとへとでたどり着いた筑波では、同期の皆さんと学ぶ毎日がとても楽しく、少々無理をしても参加してよかったと思いました。緑化センターの方々の素敵なキャラクターと熱い言葉を今もよく思い出します。
こうしてやっと念願の樹木医になることができました。今は第3 子を出産したばかりで、子育て中心の毎日を過ごしていますが、また先輩方と一緒に活動できる日が楽しみです。