「ネットワーク」
25期 松元 信乃
樹木医になって「よかった」と思うこととして、専門的なネットワークに入れたということが挙げられます。定期的に研修のお知らせや会報が届き、仲間うちでは推薦図書や勉強会等の情報交換が活発に行われていて、おのずと研鑽するチャンスが多く得られます。業界の仲間も増え、心強く感じています。
さて私についてですが、東京都の管理する公園や庭園、霊園の指定管理者として維持管理業務を行う(公財)東京都公園協会で働いています。樹木医の取得をきっかけに転職したので、仕事をはじめてまだ間もない状況ですが、今感じていることについて述べたいと思います。
当協会では60か所の公園等の施設を管理しており、樹木医として求められる主要な役割は、公園樹木の健全管理です。とはいえ、限られた職員だけですべての施設の高木(およそ40万本)を見回ることは難しいため、健全度や損傷状況、生育場所、その木の役割(巨樹名木等)などによって重要度を計り、重点的に点検する樹木を抽出(点検木という)、さらに日常点検については講習を受けて認定された「樹木点検員」と呼ばれる職員が行っています。得られたデータは同一の書式にまとめられ、年4回集積されます。点検木の本数は1,600本を超え、点検票の確認は骨の折れる作業ですが、これほど多くの臨床データを集めている機関というのも珍しく、貴重な情報を使って日々研修しているようにさえ感じます。
樹木医試験の合宿で感じた事でもありますが、樹木についてはまだわかっていないことが多く、まだまだ研究が必要な分野です。それというのも樹木の一生に対し、一人の研究者が費やせる時間が圧倒的に短いことが理由ではないかと感じます。この課題を克服するには、たくさんの専門家同士がつながって情報を共有することが大切です。そのため、点検票についても適切に精査・管理・分析し、広く公開すること、それが今後の樹木医学の発展に貢献できる私の役割と感じ、日夜取り組んでいる次第です。