「さらに高みを目指して」
28期 矢野 隆
私、愛媛県で果樹農業を営んでいる矢野と申します。28期の研修を受けさせていただき、はれて樹木医を名乗らせております。現役時代、果樹の試験研究に従事していた関係で、木本植物には常に関心を抱いており、「樹木医」にも深く興味を持っていました。若干早く退職し就農しましたので、折角の機会に樹木医の試験を受けて、合格の暁には少しでも社会貢献できればという思いで受験させていただきました。
農作業の合間での勉強でしたが、友人の先輩樹木医の助言で「樹木医の手引き」は一通り理解するよう努力しました。果樹の樹体生理や病害虫防除についてはこれまでの知識もありましたが、なにせ果樹に比べ巨樹が対象であり、かつ植物群落としての理解ということで非常に興味深く感じました。また、登録農薬の少なさの中での寄生動植物との闘い、人工的でなくあるがままの生態系を維持することの難しさを痛感しました。
研修同期の皆さんには非常にお世話になりました。研修の中で最も苦労したのは樹木識別です。ほとんどの方は日ごろから見慣れているようで、特段の苦も無く識別されていましたが、私といえば、構造的特徴を整理するのも難しく、また年ゆえにその名前を思い出すのも難しいという状態でした。それと、最も残念だったことは、研修中に体調がすぐれなかったため懇親会に参加できなかったことです。酒飲みなのでそのような場は大好きなのですが、研修を全うすることを優先し断腸の思いで欠席しました。今になって思えば、熱が出ようが、懇親会でなお深く同期の皆さんと接すればよかったと思いますが、後悔先に立たず。
最後に、現在樹木医会愛媛県支部に在籍し、先輩方との交流が始まったばかりですが、最近、農業法人を立上げ、忙しさにかまけて十分な活動ができていません。落ち着いてくれば、地域の巨樹、銘木などを訪ね、あらゆる樹木を注意深く見ていく努力を重ね、少しでも社会貢献につながるような活動につなげていきたいと思っています。