「努力を重ね樹木医に」
29期 白鳥 桂子
私は幼い頃から自然に興味があり、木登りや虫取りが好きな少女時代を過ごしました。大学では生物学を学び、大学院では環境科学を専攻しました。山梨県環境科学研究所(現 富士山科学研究所)で緑地計画に関する研究の後、札幌市に転職し、環境行政、公園計画、墓園管理の仕事を経て、現在は街路樹診断や公園管理を担当しています。仕事で樹木医に樹木の相談をさせていただくことがあり、樹木医への憧れがありました。夢を実現させるため、3人の子供達の育児の合間に勉強する決意をしました。
勉強法については、最初は樹木医の手引きをノートにまとめていたのですが、効率が悪いため、過去問中心に勉強する方法に切り替えました。過去問は7年分を10 回やりました。過去問を3回解くと得意分野、苦手分野や傾向が明らかになります。得意分野は生態系、遺伝、生物、苦手分野は土壌、菌類でした。間違えた問題を分析し、苦手分野に関する本を読み知識を深めました。論述は90 分で400 字を3 枚書くので、時間を計り1枚30 分で書き上げる練習をしました。序論、本論、結論を意識し構想を練り、書き始める前に要点を箇条書きにしてから一気に書き上げました。合格した年は保健所で墓園管理の担当をしており、平成30 年9 月に発生した台風21 号や北海道胆振東部地震の災害復旧の仕事が忙しい中、早朝と夜に各1時間、直前は図書館で勉強しました。仕事や育児で厳しい状況に置かれても、樹木医になりたい!という夢に向かって努力を重ね、合格した時は嬉しかったです。
筑波の研修は毎日樹木のことを考えることができ、仲間もできて楽しかったです。実習は大学院時代に住んでいた寮の近くで行われ懐かしい思いがしました。
樹木医となり1年が経ち、樹木に関する相談を多く受けるようになりました。特に、都市公園のサクラは植栽してから約50 年が経ち、治療をするか伐採して更新するか、状況をふまえて判断する必要があります。長期的な視点で樹木の保全や管理について考える樹木医を目指し、向上心を持って活動していきたいです。