「喜ばれるみどりのために」
27期 今泉 孝文
手入れをつづけてきたマツが急に弱っていった経験が勉強をはじめるきっかけになりました。
よく似た条件の中で衰弱するものとしないものは何が違うのか、それが知りたくて会社にある資料や先輩からのアドバイスの他、樹木医の関連書籍を購入し勉強を始めました。没頭して何冊も繰り返して読みました。そうするうちに樹木の外観、環境、地面の様子から多くの情報を汲み取ることができるとわかってきました。日々の現場は理解を深める場となりました。
2016年にそれまで勤めていた造園会社から独立し個人で営業を始めました。一定の能力証明が欲しい、高度な技能を習得したいと思ったのが樹木医受験のきっかけです。いつも「樹木医の手引き」を持ち歩き、現場で直面する出来事と掲載内容とを紐づけて学習しました。機械的に書き写したり、林道を歩きながら大声で読んだこともありました。植物のあるところを注視して回りました。庭、道、町、公園、浜、河川、用水路、畦畔、小川、藪、果樹園、竹林、人工林、天然林、社叢林などを参考書目線で散策しました。逸脱して好奇心任せの藪こぎになることもありました。
2016年の試験は不合格でした。しかし、受験勉強を通して身近な地域のみどりを新たな目線で見ることができたことは今の業務にも役立っています。そして翌年合格しました。筑波の研修では濃密な講義の他、樹木に関わる多様な立場の方々と意見を交換し繋がることができ、業界の広大さを感じました。
認定後、これまでの経験を生かす現場に恵まれ管理を続けています。今後は研修参加などの継続学習を通して、現場対応の幅を広げていきたいと思います。
またそれと平行して模索し挑戦するものがあります。それは人口減少に対するみどりの役割とその管理です。私の住む佐渡島では加速を続ける問題であり、各地での取り組みを参考にして樹木管理技術がどのように活用できるかを試みています。
数年前に蒔いた樹木医の種子がようやく芽を出しました。喜ばれるみどりのために励みます。