「早寝早起」
27期 佐田 周平
私は木こりです。普段は山奥の現場で木を伐ったり、下刈りをしたり、春は重い苗木を山の上まで担いで植林をしたり。造園関係や行政職が多数を占める樹木医のなかで、林業(現場職)は少数派ではないでしょうか。
全くの他業種から転職した自分にとって、林業の現場はまさに職人の世界でした。悪く言えば「経験と勘」。なぜ樹木が成長し、枯れるのか。どうして枝をこの箇所で打つのか、先輩たちに尋ねても納得する説明が得られることは稀でした。そして、専門的な知識を持たないまま仕事をしている自分がいました。木のことを何も知らない木こり。そのような悶々とした思いを抱えていた時期に、樹木医でありアーボリストとして第一線で活躍されている方と出会うご縁がありました。どんな些細な疑問に対しても科学的な知見から常に明快な答えを返される姿を目の当たりにし、これが本当のプロなんだなと、圧倒されたことが樹木医を志したきっかけです。
文学部出身。中学理科すらおぼろげな状態で「光合成ってなんだっけ?イオンって?」というお粗末なレベルから勉強を始めました。勉強方法は「樹木医の手引き」を読み込み、過去問を解く。過去問で間違った箇所は手引きに戻る。解説を読んでも理解できない箇所は大学受験用の参考書で補足しました。個人的には、試験に関する情報が少ないことを感じました。合格ラインもよくわからず、練習問題もあまり多くない。過去問5年分はすぐにやりきってしまい、日本樹木医会から手に入るだけのバックナンバーを取り寄せ、繰り返し解きました。当初は、毎晩勉強だ!などと意気込んでいましたが、仕事の疲れで効率が悪く、禁酒のストレスもあるので続かず、夜は好きなだけ飲んで(?)早起きして朝勉強するスタイルで通しました。これがよかった。
樹木医になって改めて強く思うのが合格はあくまでスタートということ。一生勉強の気持ちを忘れず、日々努力していきたいと決意を新たにしています。