長太の大楠
樹種
クスノキ
都道府県名
三重県
樹高(m)
268 三重県指定天然記念物(1963年指定)で、鈴鹿市の東部に位置する南長太町の伊勢湾から約1.5㎞の田園地帯に生育している。全国の名だたる大楠に比べるとやや小さいと感じられるが、これだけの巨木には珍しく、四方に何もない孤立木として成立している。その存在は古くから知られており、嘉永年間(1848~53)「勢国見分集」の名木之部に「河曲郡北堀江村 楠 当村の西の方にあり 是を大木神社と云 式内の社なり」と記されていることから、楠そのものが神社であったようである。また、2012年には鈴鹿市の景観重要樹木の景観樹第1号に選定され地域のシンボルとして親しまれている。2020年9月に落雷にあい、2023年2月の時点では葉がほとんど落ちてしまっているが、樹上にわずかながら新芽が残っており、今後の回復が望まれる。
白子の不断桜
樹種
ヤマザクラとオオシマザクラの種間雑種
都道府県名
三重県
樹高(m)
7ー 三重県鈴鹿市白子の子安観音寺境内にあり、大正12年に国の天然記念物「白子不断ザクラ」に指定された名木で、四季を通じて葉と花が見られる霊木として大切にされている。寺の縁起には「天平宝字年中(757~765)、雷火の為消失した伽藍後に芽生え、四季に花葉絶えず、称徳帝勅使をして禁庭に移させ給うに、一夜に枯れて見へければ桜を寺へかえさせ給う直ちに蘇生す。帝益々御帰依あらせ給い‘ちかひあり,いつも桜の花なれば みる人さへや ときはなるべし’と詠まれた」とあり、称徳天皇の頃から1,200年以上咲き続けているとの言い伝えがある。1980年ごろ、永田洋教授(現 三重大学生物資源学部名誉教授)らによって、早期落葉が秋の開花に大きく関与していることが解明された。
飯南高校のハナノキ
樹種
ハナノキ
都道府県名
三重県
樹高(m)
224.4 飯南高校には1933年(昭和8年)に植えられたとされるハナノキがある。その頃、県農業大学校の前身の県農林勧修場が設置されており、植物園の生き残りかもしれない。1948年に松阪北高校粥見分校が設置され、現在の飯南高校になった。校歌に「年老う杉の並木道の緑に深くつつまれて・・・」と歌われ、スギ、ヒノキ、コウヨウザン、ヒマラヤシーダなどの大木もある。ハナノキは飯南高校のシンボルになっており、国道からもよく見える芝生広場に生育している。樹勢は旺盛で、今も肥大成長している。生徒が作ったハナノキの説明板も設置され、高校のHPに紅葉情報が掲載される。紅葉する11月上旬には市民の訪問が絶えない。地域を盛り上げようと、2016年から紅葉のハナノキの下で同校吹奏楽部によるイブニングコンサートも開催されている。
長尾のクマノザクラ
樹種
クマノザクラ
都道府県名
三重県
樹高(m)
101.12 クマノザクラは、森林総研の勝木俊雄博士により野生種として103年ぶりに発見され、2018年(平成30年)に新種のクマノザクラとして公表された。紀伊半島南部地域の二次林に自生し、葉の展開に先立って白色~ピンク色の花が咲き、遠望ではヤマザクラと酷似するが、ヤマザクラより早く咲く。
熊野市紀和町にはクマノザクラの一本桜が多く見られる。なかでも長尾のクマノザクラは9本立ちの株ながら一本桜のように見える。県道の脇に立ち、四方に枝を広げた端正な樹形、ピンクの濃い花色など紀伊半島随一と評価が高い。公表されて以来、毎年開花期には地元だけでなく、遠方からの見物客も多く集まる一大観光地となっている。(目通りは最大のもの)