想いの種を育てて二十余年 ―還暦で手にした「樹木医」の証
33期 生野 信一郎
樹木医として歩みだして一年が経ちました。振り返れば、私と「樹木医」との出会いは、制度が発足した頃、造園職に就いて5年目、造園会社を営む実家に帰って2年目の年でした。取得したいと思いつつも経験が浅く、まだまだとも思っていました。それから二十余年、日々の生活の中で時間は刻々と過ぎていきました。転機が訪れたのは、私が57歳の時です。翌年1月から支部会員による長崎県樹木医会で新しく「樹木医取得講座」が始まるとお誘いをいただきました。「そういえば樹木医になりたいと思っていた」と、「還暦を迎える60歳までを期限として、チャレンジしてみよう」と決意を固めました。遅すぎる出発かもしれないという不安もありましたが、それ以上に「今を逃せば一生後悔する」という直感が勝ったように思います。
受験を決めてからは、平日2時間の学習を続けました。学習は不思議と至福の時間でした。長年、仕事の中で蓄積されてきた、植物の手当や学んだ教えなどが、教科書を開くたびに紐解かれていく。経験と学びが結びつくことが楽しく充実していました。
合格して一年が経ちましたが、衰えを感じる頭と体との折り合いをつけながら自らの知識を更新し続けなければならない。今は予想していなかった努力を強いられ、いまだに勉強の日々です。
現在は、長崎県支部会員とともによる地域の樹木の診断や保護活動に参加させていただき、実践を通じて知見を重ねています。 かつて講座に誘ってくださった長崎県支部会員の皆様への感謝を忘れず、これからは私が次の樹木医を目指す方々にお声がけをしていかなければと考えています。学び始めるのに、遅すぎるということはありません。50代、60代からでも、情熱さえあれば扉は開くと思います。これからも一人の樹木医として、謙虚に、そして知的好奇心を持ち続けながら、樹々と真摯に向き合っていきたいと思います。